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頑張る

最近家じゃ勉強がはかどりにくい。
のでよく外で勉強する名城です。
こんばんは、もうすぐ資格試験日。
嫌だぁ。
現実逃避に続きに書きだめしていた小説の序章。
タイトルが決まらないので仮です。
ある限定的な人にはわかる話。しかしほとんどの人はなんの話だ?と言う感じだと思います。
そう言えばそろそろ小説、「六つ花の追憶」を出そうかなぁ。
実はそれ関連というかそれ時代設定の話。
まぁ正岡家関係の小説です。

明日4時に起きて勉強するぞー。

 


蓮儚(れんぼう)― 舞咲の唄(仮)


「蓮子」

そうあの日、お爺様はいつになく楽しそうなお顔で私――蓮子をお呼びになった。
四つの私はそんなお爺様を不思議に思ったものでございました。しかし、私もなぜかその時、胸が躍ったのでございます。なにか、とても良いことが起こるような、そんな気がしたのです。

「お前を彼――私のとても大切な親友の所に連れて行こうと思っているのだが……」

私はお爺様が大好きでした。だから、返事は言うまでもございませんでした。

「はい、おじーさまがおっしゃるなら!」

そう言う私にお爺様は優しいまなざしを向けられ、頭を撫でてくださりました。
もう小さな子どもではないと、当時の自分は思っておりましたので、頭を撫でられるのは家族以外あまり好いておりませんでした。自分がとても小さいと、思い知らされるような思いになったからでございます。でもお爺様は特別でした。
私はお爺様に撫でられるのは大好きでした。だからとても嬉しかった。

「おじーさまのおはなしにはききぞんじておりました。れんこもずっとおあいしとうございました」
「では――身支度をせんとな」

嬉しそうに言う私にくくっと笑うと、お爺様は顔を近づけると声を潜めておっしゃりました。
そこで私は合点がつき、目を煌かせながらくすりと笑いながら頷きました。こういう表情をされた時、よくお爺様はこっそりと館から抜け出したものでした。それも常人のやり方ではなく、妖怪に協力して頂いて。

「あ、でもせんぽうへごれんらくさしあげなければ」

私ははっと気づいて慌ててお爺様を見ると、あのお方は笑いながら私の手を引いて、掛け軸の前に来られた。

「いや、もうあちらは知っておる」

お爺様はその掛け軸をめくった。不思議に思いながらそれを見ていると、私とお爺様は通れるはずのない壁の向こうを潜った。
その先は――

「え?」

青い空。
瑞々しい樹木と土の香り。
緑の多い茂る林。
一軒の平民の館。
そしてお爺様は館の門の前で立っている者に向かって親愛の眼差しを向けた。

「なぁ?」

「ええ」

そこには白い髪を持った優しそうな麗人が微笑んでおられたのです。姿は十八歳くらい。人目で彼が、人ではないことに私は気づきました。
でもそれよりも・・・・・・

「はじめまして、蓮子さん」

呆然と彼を見たままの私に彼は近づいて、身を低くされた。彼の白髪がさらりと揺れる。あとでわかったことですが、あれは私と視線を合わせるための気遣いでございました。

「私の名は白露」

温かくて低く柔らかい、心地のよい声。月のように静かに笑うと彼は言った。

「お聞きした通り、可愛らしい方でございますね」
「そ、そ、そ」

あまりの彼の美しさと、わけのわからない胸の鼓動に私は頭が混乱したのでございましょう。お恥ずかしいことに私はうまく言葉をつむぐことができませんでした。

「本当ですよ」

くすりと笑いながら頭を撫でる彼。
普通なら家族以外ではあまり好かないその行為。
でもなぜか、彼にはそんな嫌な感情はわかず、ただ……顔が真っ赤になってしまったのでございます。
どうしてその白髪の麗人には平気だったのか。ただ幼い自分は当惑してしまいました。だから真っ白な頭でやっと口から出た言葉は――・・・・・・

「そんなことありません! はくろさまのほうがかわいらしいですっ」

そう口走ってしまっていたのです。

「え?」

彼の驚いた顔。
お爺様の笑いをこらえた口元。

自分でもなにを申したのかわかってなかったのでしょう。ただおかしなことを申し上げてしまったのだと、それだけはわかったのでございます。
そして恥ずかしくてますます混乱してしまった私は、ついにお爺様の元へしがみ付き泣いてしまいました。


それが私と白露様――白露仙人と初めてお会いした日のこと。

 

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