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久しぶり~



久しぶりです名城です。
元気ですよ~、なにかと平日は疲れてばたんきゅーに近い状態ですが。
資格勉強もあるし。
ただこの頃休みになると土日のどちらかどこかへ出かけたい症候群です。

と、なんだか呟き程度の日記ですが、次にサイトについて。
つぶやきには更新頑張り中とありますが、更新停滞期間突入しました。
宣告なしでしたが、申し訳ありません、よろしくお願いします。
と言ったところで日記で少し更新。
続きにイラストと関連小話的なにかが入っています。
この頃ラヴが書きたくて仕方がない。
というか焚之助と渉フィーバーです。


彼らの関係

「たぁさんこんにちは~」

元気な声と共に風が起こり、門前につむじ風が起きた。そこには絣の着物と袴を着た少年・・・とも一瞬見違う少女が現われた。

「交征(かわせ)さんに頼んでたもの持って来たけ、ど・・・・・・いない?」

竹で出来たくぐり戸を押しのけて中に入ると少女はあたりを見た。茅葺屋根の一軒家。温かい日差しの下、静かに風が庭の木々を揺らす。
そこには人気がなかった。

「あれ? ちゃんと来る前気配を確認したんだけどな。というか一応念話も送ったし・・・」

風呂敷に包んだ頼まれモノを持って、ま、すぐに帰ってくるだろとつぶやくと縁側に荷物を置き、自分もそこに腰をかけた。

「厠かな? あ、それか急な正岡の呼び出しか?」

そんなことを呟いていると、不意に足元に小さななにかがよってくる気配がして少女は下を見た。

「わ、猫!?」

そこにはひと声鳴くと地面にごろんと転がる茶色の猫がいた。陽だまりの下、気持ちよさげに目を細めてこちらを見ている。

「うわー、こんな山中なのによく猫が住んでるなぁ! 君ヤマネコの子かなにか?」

頬を緩ませながらしゃがみこむと、少女はその猫に話しかけながら撫でてやった。普通猫は人の言葉を解するはずもない。けれどそれを理解しているのかしていないのか、ひと声鳴いて彼女にすりよった。

「か、可愛い。ちょっと・・・夜太郎(やたろう)思い出すなぁ」

そう言うと少女は懐かしむようにくすりと笑った。

「ま、あいつは可愛いというよりカッコいいと言うかあまり愛想みたいのない奴だったけど」

「渉ちゃん、来ていたのか」

後ろからかけられた少し慌てた雰囲気を含んだ低い声に少女は振り返った。
そこには茶の長髪を一つにくくった背の高い青年がいた。彼はたぁさん、もとい、焚之助(たのすけ)という。狸の妖怪だ。

「たぁさんこんにちは!君、猫飼ってたの?」
「いや・・・・・・というか誰だそいつは」

少女――渉の和んだ笑顔に少し目をしばたたせると、今気付いたように彼女の足元の猫を見た。
渉の言うとおり、猫が気持ちよさそうに寝そべっていた。

「・・・・・・どこから来たんだコレ」

嬉しそうに触る渉から猫へと再び視線を戻す焚之助。それは奇妙なことだった。
ここは山腹にある一軒家。知り合いでもなければ来ることはない。動物はいるが、こんな町中でしか生息出来ないような子猫が山で生きていけるとは考えにくい。
まぁ妖怪である自分も十分奇妙だし、奇妙と言えばその最たる者がここにいるのだからあり得なくはないか。
などと思いながら、さして害のある妖獣ではないようなので、一瞬鋭く細めた目を焚之助は元に戻すことにした。

「ふーん、たぁさんが連れて来たんじゃないんだ。ま、いいや」

そして奇妙の代名詞がものすごく癒されたような表情を浮かべるながら猫を触るのを見る青年。それにふっと息をついて焚之助は笑った。

彼女に少し会えて嬉しい。
何回か会ったと思ったら、長くて50年会わずにいる存在だ。
けれどひょっこり、当たり前のようにやってきてくれる。

焚之助はそっと渉に手を伸ばして、彼女の髪を指の先でもてあそんだ。さらさらと絹のような髪の肌触りが心地よい。
焚之助は妖怪の中でも700年はゆうに越した年月を過ごした大妖怪である。仙人でもある彼は、仙界においてはまだ若いかもしれない。だが人の世では違う。彼の師匠とは違い、主に人の世で暮らす彼にとって知り合いは自分よりも先に死ぬ。
そんな中で彼と同じく長い年月を生きる渉は、彼には特別な存在だった。

「渉ちゃん」

焚之助は
少し髪の毛を引っ張ってみる。
無反応。

「・・・・・・あの渉ちゃん?」

「あ、頼まれたものはそこに置いてるよ」

振り返らずに言う渉に、少し焚之助は息をついた。彼女の猫好きにため息が出る。それに加えて夜太郎と言ったか、彼女の昔の相棒が猫の妖(あやかし)だったらしい。だからか猫に対する思い入れが強いのかもしれない。
そう考えながらも焚之助は心の中でイラつきが湧きあがった。
せっかく1年ぶりにあったと言うのに、彼女は感慨もなく猫ばかり触っている。
渉を見つめる焚之助に気づきもしない彼女。

「・・・・・・」

少し焚之助の口が引き締まる。
1年という年月は渉にとってさほど長くはないのかもしれない。実際の歳なんて知らないし。けれど・・・。
その間に人は、動物は生まれ、また死に、そしてわしもまた・・・・・・いつ死ぬなんてわからない。
なのにこのあっけらかんとした態度に、焚之助はイラついた。
どうでもいいのか、わしは、会いたかったと言うのに。
いつ来るかわからない、いつまた会えるのか、そもそも生きて会えるのかすらわからない。
そんな風のように消えては飛んでしまう人なのに。

焚之助の眼がすっと細まる。
指に絡めていた渉の髪を見る。依然彼女は猫に夢中。
そんな渉の髪間に指をすべらすと先ほどより優しく、焚之助は彼女を呼んだ。


「――渉」

tanosukexwataru.jpg

「は、はい?」

体を揺らすと声をひっくり返しながらばっと振り向く渉。
その顔はしまったとばかりに慌てて笑いながら彼の瞳を見た。

「ご、ごめんねたぁさん!久しぶりなのに思わず・・・・・・」

しかし彼女はそこで絶句した。

「渉」

優しくけれどどこか艶を含んだ焚之助の黄金の瞳。

「焚之助って呼べよ」

さらりと柔らかくしかし甘い声で言う。

顔を赤くする渉にふっと笑う焚之助。
けれどふいになにかを思い出しのか表情を変えた。

彼の眼に渉の帯にかかった風鈴が一つ。
まるで装飾品のように着いた小さな鉄は、随分年月が経っているのか少し落ち着いた色が出ている。
しかし錆はほとんどなく、大切に扱われていることが目に見えて分かる。

先ほどの甘い気配はどこか消え失せ、笑みを消す焚之助。その瞳にはひどく暗い、悔恨の色が見られた。
すると彼は彼女の髪を指で撫で、小さく言葉を落とした。

「わしは・・・・・・後悔した」

急に落ちた声と彼の調子に、なにかを察したのか渉は真剣な顔で焚之助の顔を覗き込んだ。見ると、苦しげに彼の顔は歪められていた。

「あんなこと、渉に頼むのは酷だったのにっ傷つくことを知っていたのにっ」

「・・・・・・焚之助は優しいね」

ぽつりと言う渉。その言葉にしばらく二人は黙りこんだ。

「でも謝ることはないよ。いずれ、あれは私の仕事の範疇に入った者だから。だから・・・・・・」

一瞬悲しそうに微笑む渉。

「焚之助は、世界を壊そうとする人がいたら止めてあげてね?」

それに息を飲む焚之助。

「私、本当は・・・・・・言っちゃいけないんだけど、仕事をする時が辛い時があるんだ。利己的だけどさっ!」

そして悲しみを振り払うように元気な声で言うと、彼女は笑った。

「渉っ」

思いつめたように小さく言うと、焚之助は渉の腕を引っ張り、彼女を自らの腕の中に抱きしめた。

「泣きたくなったら・・・・・・逃げたくて辛くなったらわしはいつでもいるから」

その言葉に顔を赤くした渉は目を見開く。
そして表情を崩すと泣きそうな消え入りそうな声で呟いた。

「そんな、こと。言うな。私は、残酷だ、無情で、仕事のためなら、なんだって、冷酷になって・・・・・・君の気持ちだって」

「関係ない」

優しく渉の頭を撫でると、自らの胸に顔隠す彼女に柔らかくしかし強く言葉を落とした。

「わしが勝手に渉のことに好きになっただけだ。・・・・・・それにいつも無理やりだ」

ばっと渉は顔を上げると、顔を更に赤くして焚之助から体を離そうとした。しかしそれはほとんど無駄に近く、少々互いの体が離れたくらいだ。その時になって必死自分のうかつさを呪う渉。

「普段は人間であることをいいことに、渉を」
「私には好きな人がいるんだ!」
「そう、それも知っていながら」

さらりと言われた言葉、口元を歪めてびくりと体を揺らす渉。
そんな彼女を見て、冷静になったのか申し訳なさそうな顔をすると体を離してやった。
風がそよぐ。
しばらく気まずい無言の状態が続く。

だがそれもずっと続かなかった。
しばらくするといくらか落ち着いたのか、徐々に先ほどみたいな棘付いた雰囲気はなくなっていった。
元々長く喧嘩や気まずい状態にはならない二人だった。
自然と一緒にいると、心が落ち着いてくる。
そういった仲だから。
長い年月を過ごすと、数え切れないほどの悲しみや後悔、苦しみを味わう。
それを共有できる者への仲間意識みたいなものがあるのかもしれない。

寂しさを分かち合える、友とも言えた存在。


穏やかな太陽が降り注ぐ。


「渉」
「ん?」

「今日は泊まってけよ。久しぶりに飲みたい」

「・・・・・・わかった」

仕方なさそうに笑う渉。
それにくしゃりと彼女の頭を撫でると家の中へ焚之助は入っていった。




「・・・・・・・・・・・・・」

彼の後ろ姿が奥へと消えるのを見ると、笑顔を消して無表情に渉は庭を見た。
そしてそっと右首筋を押さえる。
生まれる前から魂と体に刻まれた、呪いとも守りとも言える文様。

「私は、誰よりも、残酷だ」

彼女の瞳が陰った。

「真実も、なにも、終わりも・・・・・・弱さを受け入れるために焚之助を利用してるんだよ」

その言葉は風に消えてしまいそうなほど小さく呟かれた。

「ごめん、焚之助そして・・・・・・」

つうっと視線を庭の柿の木に映すと痛切な顔で渉は目を覆った。

「要人(かなめ)っ」

彼女の見ていた視線の先には、それまで姿が見えなかったさきほどの茶色の猫がいた。
そしてその茶色の猫は、黒い服を着た青年と共に枝に座っていた。
不意に無表情の青年は口を開いた。

別に、いい

声とは違う意識に響くような声が渉に届く。
それと共に風が彼女の髪を優しく触れた。それは青年の手のひらの感触。
青年がすぐ横にいる。
それを渉は知っていたが、うつむいたまま彼女は彼を見ることができなかった。それを責めるわけでもなく、青年は向かい合わせに成るように渉の体を包み込むように抱きしめた。

渉が壊れて、消えてしまうくらいなら。こんなもの」 

彼の指が彼女の髪をすいては壊れ物を扱うように柔らかく撫でる。

だけど

耳に柔らかいなにかが触れる感触を渉は感じた。

「心もアレに渡すのは許さない」

頭に響くのではなく、じかに耳に吹き込まれ聞こえる頭をにしみつくような声に、ばっと顔を上げて渉は後悔した。
そこにはさっきの無表情とは変わってとろけるほど優しく微笑む青年の顔が鼻が当たるほど近くにあった。
ただその目は独占欲を露わにした、絡みつくような射すくめるような冷たく色を湛えていた。

「じゃあ、あとでな、渉」

その言葉と共に青年は唇を渉の額によせると無表情に戻り、かすれていくように姿を消した。
残された渉はしばらく黙りこみ、額に手を当てた。

「ほんと、残酷な上に、混沌として、汚いな・・・・・・私」


(終)





なぜか作者でも思わぬほど暗い展開になったのでここでうちきります!!(汗)
以上正岡家と妖怪シリーズに出てくる狸の妖怪、焚之助。
天保の改革以後でコレラが収まり始めた頃の時代の彼らでした!

渉の性は「渡りの神」としての性でもあり、前世の因果でもあります。
その因果は「繋ぎの神(要人)」が原因とも言えますが・・・。
そして焚之助は恋少ないのにいずれも女運がないです。
一人目好きな人がいる(諦めた)
二人目会える頃には死んだ(諦めざる得ない)
三人目格が違う上好きな人いるし、無理やり両想いになったところで世界破滅かいずれ自分が完全に先に死にそう。
つまるところ精一杯今が一番よいというか妥協できる状態のはずなのにそう言う意味ではあまり救われない。
というか渉と完全な両思いになりたければ十中九割五分で世界破滅って一体どうしたものか。
あとおまけに焚之助は渉のことを普段は「渉ちゃん」と呼び、渉は「たぁさん」と呼びます。
けれど感情的になったり、真剣な話しだったり、艶っぽい雰囲気になると「渉」と「焚之助」と呼び合います。

とまぁ長くなりましたし、初めての人もそうでない人も意味のわからない小説でした。
途中の画像はクリックすると拡大します。
猫の不気味さはもう許して下さい。というか全体的に絵の下手さを許して下さい。
ここまで読んで下さってありがとうございました!!

 

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