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とりあえず死にました


次の資格試験の模擬テストを本日やりました。
死にました。
正直言うと、時間配分間違えました。
結構後半で分かった問題が多かったのに、時間がなくて適当に選ぶことになってしまった。
・・・・・・思えばあと試験日まで2週間を切りました。

あれを提出したと思うと居た堪れない。

よしっ!いい経験になった!
本番はこんなことないようにするぞ!

と、少し居た堪れなくなったところで続きに小説入れときます。
最近居た堪れなくなったりすると小説です。
しかしサイトの方は更新しないという。
サイトの方は出せるストックがないからね!

ちなみに前回の話の続きです。
本来はこの後に焚之助視点での朝が入るのですが、それから大分時間が経過しております。

 




火華(かが)――――月追いの歌2



*    *  *


「おーい、蓮子」

 ぶらぶらとおいらはあいつを探した。そこらの木へひとっ走りして手に入れた柿を腕に抱えて屋敷を歩いて回る。最近妙に蓮子は考え込んだり、元気がないことが多い。だから景気づけにとって来た。
 蓮子が白露に気持ちを受け流されてばかりなことに意気消沈しているなんてことはない。というかそんなの今更だし。蓮子はそんなことで諦めるような女じゃないし、逆に燃えるほうだ。元々恋する相手にはしつこい家系らしい。おいらは恋なんてしたことねーから、その気持ちはわからない。

 じゃあなんでこの頃元気じゃないのか。そこが問題だ。

 おいらは縁側を歩いてみた。昔はよく蓮子の持つ駄々漏れの妖気のおかげですぐに居場所がわかったものだ。けどこの頃あいつ、気配消すのうまくなったからな。時々気配をつかめない。
 とりあえず、白露は今出かけてるから蓮子は自分の部屋にいるのかもしれない。そう思ってそちらへ向かった。

 あいつが落ち込むのはまぁ、蓮子だっておかしくはないけど、目に見えて行動が変だ。上の空という表現が合ってる。それに時々不安げに瞳が揺れるのをおいらは見逃していない。おいらはなにも言わないけど、わかる。いつからだっただろう。ああ、最後に蓮子が親元へ戻った時からか。
 おいらはその時のことを思い出した。

 定期的に蓮子は白露の屋敷と親元を往復している。基本的に蓮子は療養中ということでそんなに頻繁に実家に行くわけじゃない。でもあの時、蓮子を迎えに来た従者が向けてきた視線が気になった。
 従者は毎回迎えに来る奴だった。無口な人間で必要以上のことをしゃべらない。おいら達妖怪に対してあまり怖がる様子を見せない所は流石、蓮子の実家――正岡の従者だけある。けどそれだけだ。おいらは基本、人間が嫌いだ。だからあまり奴のことは知らない。話したこともないしな。

 けど「行ってまいります」と、とても名残り惜しそうに言う蓮子。そして微笑みながらあいつの頭を撫でる白露。おいらに「すぐ戻ってくるのでおみやげの茶菓子を楽しみにして下さいませ」と笑顔で言う蓮子を撫でていると、ふいに視線を感じた。

 見ると従者と視線が合った。そいつはそれまでおいらに興味を持っていなかった。なのにその時、まるで憐れむような表情を見せた。おいらが眉をひそめてなんだと聞こうとした時には、従者はすでに視線をそらして先ほどの表情を露ほどにも残していなかった。

 その時はそれで終わっていた。訝しんだけど、特になにか変わったことはなかったからだ……一つのことを除いて。

 その後実家から帰ってきた蓮子はいつもどおり、茶菓子を持って食べようと笑顔で白露の元に駆け寄った。ただ、白露がお茶の準備をしようと奥へ行った瞬間少しの間、今にも泣き出しそうな痛切な顔で白露が消えた先を見つめていた。

 思えばその時から、蓮子は態度がおかしくなっていたのかもしれない。

 館に住む小妖怪達が音を立てておいらの横を通り過ぎた。蓮子がいつも可愛がっている奴らだ。見ると蓮子の部屋に続く襖へ吸い込まれていった。やっぱり蓮子、部屋にいたのか。それにしてはやけに静かだ。寝てんのか。

「蓮子、いるか?」

 おいらは聞いてみた。返事がない。けど蓮子の匂いがするし、気配もする。やっぱり寝てんのか。十四にもなって昼寝なんて、童か。などと思いながら自分もたいして蓮子と歳が変わらない。

「……餓鬼か」

 ため息と共においらはつぶやいた。それか疲れてるのか。人間で特に女は体力ないからな。
 などと思いながら、適当に蓮子が起きるまで山で遊んでくるかと体の向きを変えた。と、思ったが、なにかに服を引っ張られて振り返った。

「……なにか用か、火鼠の子」

 そこには蓮子と仲のいい火鼠の子どもがおいらの服をつかんでこっちを見上げていた。小妖怪の瞳が少し怖がるようにして揺れた。けど、なにか必死に見上げていた。

「食わないから言ってみろよ」

 そう言うと、いくらか緊張を解いて火鼠の子は口を開いた。

― 蓮子ノ、ソバニイテ ―

「どういうことだ?」

 その言葉においらは訝しげに見た。それにびくっと反応すると奴はぱっと服を離して消えてしまった。睨んだわけでもないのに気弱な奴。
 とりあえず白露から女の部屋には勝手に入ったらいけないと、念を押されたけどいつもどおり勝手に入った。おいら妖怪だし狸だし……関係ないしな。

 そして思ったとおり、蓮子は寝ていた。特になにか問題はなく、安らかな吐息が聞こえる。
 ……なんだ火鼠の奴、変なこと言ってなにも問題ないじゃないか。
 もし白露に蓮子が寝ている間に部屋に勝手に入ったと知られたら、怒られるじゃないか、あの小妖怪め。しかもあのボケ仙人、なにを勘違いしてかおいらが蓮子に興味があるなどと思いそうだ。うわ、あいつのわかっていると言わんばかりの微笑みが想像できるしっ。
 などと思いながら白露が帰ってくる前にさっさと部屋から退散しようとした。人間の生活に慣れてしまったおいらは多少女子の部屋に勝手に入ってしまったことに罪悪感もあった。

 けど

 おいらは障子に手をかけた所で固まってしまった。
 蓮子が寝言であんなことを言ったもんだから、おいらは、耳を疑った。

 苦しそうに唸り、切なそうに蓮子が口に出した言葉は、やけにおいらに衝撃を与えた。

「……はく、ろさま……。……こは、あなたさまいがいに、めとられとう……ございま、せんっ」

娶られる?
 ばっと振り返る。そしておいらは蓮子の顔にくぎ付けになった。
 蓮子は、目をつむったまま――――泣いていた。

「れん、こ?」

 おいらは動揺しながら蓮子の元へ近寄りしゃがむと、あいつの頬を流れる透明の液体を拭った。本物の――――涙。
 胸が急に絞られる。こみ上げる切なさと脳裏に閃く既視感、冷水を浴びせられたように真っ白になる頭。

そして苛立ちを伴う無力感。
目ぶたが熱くなる感触が襲う。
おいらは、涙が苦手だ。
特に女の涙は。

 おいらは冷静になるべく頭をふってなんとか落ち着いた。でもそれでそのまま蓮子を一人にして置くのも躊躇われて、おいらは蓮子の横に座り込むと涙をすべて拭った。少し迷ったけれど、手を握ってやることにした。
 きっとただの悪夢にうなされていたのだと、そう自分に納得させていた。

 本当においらは涙が苦手だ。……嫌なことを思い出す。

 そこでおいらは既視感の正体を思い出した。小さい頃ひっそりと一人で泣いたおかぁ。その姿と――――蓮子が重なって見えたんだ。

自分の力ではどうすることもできなかった、とても歯がゆかった記憶。
幼かった自分はただ、見ることだけしかできなかった。

あれから十年も経ったのに、おいらはまだ無力なのか?

 おいらは、目をつむると再び目を開けた。
 蓮子は表情の読み取れない顔で安らかな吐息を立てていた。



 


なんともミラクルな寝言。
あんな長い、しかも意味の通った寝言ってありますかね?
ちなみに蓮子は普通に寝言で会話できます。
なんていう小さな設定。しかし本人は覚えていない。

そしてこの後、勝手に寝ている女性の部屋に入ったということで、蓮子に怒られ白露にも微笑ましげな笑顔で誤解される焚之助。

言い忘れていましたが、蓮子視点の2で最後の焚之助の前に出て来たセリフの人は、役割を考えあぐねている人物w
ちなみに樹木の精霊。ヱンムさん。
一応焚之助の命の恩人なはずなんだけどなぁ・・・・キャラが薄い。
 

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